南区さんぽ道

身近な花の名前 2021年夏 その2

ヒメツルソバ
 おそろいのピンクの帽子をかぶったこびとたちのようなかわいい花。ソバの花とはまったく似ていないのに、なぜかソバという名前がつけられています。男の子が生まれれば太郎、女の子なら花子、これ以上子どもはいらないと思えばトメ子というように、庶民の子どもたちは、いいかげんな名前がつけられたようです。野草も同じ。でも、ヒマラヤ原産のこの花には、最上級の花言葉が用意されていますよ。なお、秋になれば、「草もみじ」という季語があるように美しく紅葉します。
 花言葉 信じる心、愛らしい、気が利く

ジュズダマ
 今のようにおもちゃがない時代、子どもたちは、身の回りのものを加工しておもちゃを作って遊びました。男の子は、竹藪から竹を切り出して竹馬を作ったり、木の叉を利用してパチンコを作り雀を獲りました。女の子は、赤まんま(イヌタデ)を赤飯に見立てておままごとをしました。ジュズダマも女の子らしい遊び道具に変身したのです。ジュズダマの実には、管のような穴が開いていて、そこに糸を通して腕輪やネックレスを作って遊びました。
ジュズダマは「数珠玉」と書き貧しい家ではお数珠として仏前に祈りを捧げたのでしょうか。
 花言葉 祈り

イヌタデ
 野草には、「犬」と付く名前を持った植物があります。例えば、イヌホオズキ、イヌナズナ、イヌムギ、イヌガラシなど。広辞苑を引くと、「回し者」、「間者」とあり、さらに、「似て非なる者」、「無駄なもの」の意味もあるあります。イヌタデのイヌは後者で蓼に似ているが本物の蓼のように辛くない。ことわざに「蓼食う虫も好き好き」がありますが、あの辛い蓼でも食う虫がいるように、人の好みもさまざまだという意味です。
さて、イヌタデについては、昔の女の子なら、「それって「赤まんま」のことでしょう」と答えることでしょうね。赤い穂の部分をバラバラにして草の葉に盛り「どうぞ召し上がれ」とおままごとの道具にして遊んだものです。 
 花言葉 あなたのために役に立ちたい

ヘクソカズラ 
 「屁糞かずらも花盛り」ということわざがありますが、その意味は、「醜い女の子でも年頃になると、それなりに魅力がある」ということです。
 こんな愛らしい花に最大級の侮蔑の名前を付けたのはなぜでしょうか?それは悪臭があることだったのですね。今なら、セクハラ、パワハラと女性から避難の声が上がることでしょう。名付けたのは、こともあろうに万葉人だったらしいのです。(当時は糞かずらといわれました) なお、悪臭は害虫から身を守る手段です。
 花言葉 人嫌い