南区さんぽ道

南区の野の花たち 秋編

 

ヒガンバナ
 方言を入れて千を越える異名持つという彼岸花。その代表格といえば、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)でしょう。曼殊沙華とは、法華経にある「天上赤花」のことと言われています。この他ユウレイバナ、シビトバナ、ジゴクバナ、ステゴバナなどという不吉な名前があります。草全体にアルカロイドという毒があり、モグラや野ネズミを寄せ付けないという効果があります。飢饉のとき球根を水にさらして毒を流し去りデンプンを食用にしました。ウレイバナ、シビトバナという不気味な名前を付けたのは、よそ者を近づけない工夫だと言われています。上谷沼で撮影。
花言葉 再会、あきらめ、情熱、悲しい思い出


コウホネ
 この花の名前を漢字で表すと「河骨」。根茎が白い骨のように見えるところから、この名があると言われています。が、水面から立ち上がった黄色い花は、かれんで愛らしく、河骨という不気味な名前は、この花にふさわしくないと思いませんか?
水上の葉は、20~30㎝のタマゴ形で、その上に長い花茎を伸ばし黄色い花を一つ付けます。がくは5枚で花後、水中に沈んで緑色になり種子ができます。
別所沼公園で撮影。
花言葉 崇高、秘められた愛情、その恋は危険


ノブドウ
 花は小さくてあまり目立ちませんが、実の美しさはまるでペルシャの宝石のようです。花の名前を漢字で書くと、「野葡萄」。しかし、ブドウの仲間ですが、残念ながら食べられません。葉はハート形で巻きひげで植物にからみながら長く伸びます。
ノブドウに似たブドウにヤマブドウがあります。ヤマブドウは、日本固有のブドウで、生食はできませんが、最近ではワインやジュースの原料として注目されています。白幡の住宅地で撮影。
花言葉 慈悲、自愛


ススキ
 秋の七草に名を連ねるススキ。茎が群がって大きな株をつくります。昔は「カヤ」といって屋根をふく材料として使われてきましたが、瓦が登場すると、その役目を終えました。
十五夜に月見団子とともに飾られるススキは、過行く秋の夜にピッタリですね。昔の農山村の周辺には、カヤを刈り取る場所があり、カヤバと呼ばれていましたが、東京のど真ん中に「茅場町」としてその名が残っているのは江戸の昔がしのばれて興味深々です。笹目川で撮影。
花言葉 憂い、悔いのない青春、なびく心

オギ
 ススキに似た植物にオギがありますが、オギはススキと違って茎が一本ずつ出るためススキのように株立ちにはなりません。
秋になると、銀白色の穂が風になびいて美しい。万葉集や源氏物語にも登場し、別名自覚草、文見草として親しまれています。上谷沼で撮影。
源氏物語 野分  
おほかたに荻の葉すぐる風の音も うき見ひとつに しむ心地して
 花言葉 爽やかな

ヌスビトハギ
 実の形が盗人の足跡に似ているところから、この名があります。また、葉も秋の七草の萩に似ていて野や山の道端に咲いています。実には、トゲのような細毛があり、衣服や動物の体毛について運ばれます。北アメリカ原産の帰化植物です。白幡沼で撮影。
花言葉 略奪愛

キクイモ
 道端や空き地、河川敷などに群生し、青空に良く映えてヒマワリのような生命力に満ちた姿に思わず感動します。しかもこの花は太りすぎのあなたにとって強い味方なのですよ。それって、聞きたいですよね?その秘密は、根生姜(ねしょうが)のようにこぶだらけの塊茎にあります。この塊茎の成分はイヌリンという人間には消化されない糖分で、ダイエット食品として見直されています。ありがたいお芋さんですね。白幡沼で撮影。
花言葉 美徳、陰徳

 

タマスダレ
 「南京玉すだれ」という芸能をご存知でしょうか?日本の大道芸の一つで「アさて、さて、さて、さて、さて、さては南京玉すだれ」という掛け声で一人の芸人が長さ20~30㎝の小型のすだれを釣竿、橋、しだれ柳など歌に合わせて変形させる芸です。
少し前振り長くなりましたが、この花の線状の肉厚の葉の形態から「タマスダレ」と名付けられたことをご理解いただけたでしょうか?
南アメリカ原産の球根植物で明治の初めに園芸用と輸入されたもので、その後、野生化したものです。辻三丁目で撮影。
花言葉 汚れなき愛、期待

ヒメムカシヨモギ
 北アメリカ原産の帰化植物で、明治時代の中頃日本にやって来ました。鉄道に沿って広がったところから別名「鉄道草」と呼ばれました。
繁殖力が強く、駐車場などの空き地があると素早く繁茂します。まさに雑草の代表格です。しかし、小さな花は、よく見ると愛らしく、かれんで思わず微笑んでしまいます。
花言葉(ヨモギ全般)幸福、平和


アメリカセンダングサ
 子どもの頃、この花の実を女の子のセーターなどにくっつけてイタズラした思い出はありませんか?実には鋭いとげがあり、顔などに当たると、かなりの痛みを覚えます。マジックテープは、このタネをヒントに発明されたと言われています。
大正時代に帰化した北アメリカ原産の植物です。水田のあぜなどに繁茂する害草で、外来生物法により要注意種に指定されています。白幡町内の駐車場で撮影。
花言葉 近寄らないで

ムラサキカタバミ 
 カタバミ科の仲間には、黄色の花を咲かせる「カタバミ」、「オッタチカタバミ」と赤い花を咲かせる「イモカタバミ」と「ムラサキカタバミ」があります。いずれも3枚の小葉と5弁の花が特徴です。
 カタバミは、漢字で書くと「片喰」で、夜になると葉を閉じて眠るため半分葉が欠けたように見えるところからこの名があります。この花は繫殖力が極めて強いために子孫繫栄を願う武将たちから家紋として珍重されました。
江戸時代の末に渡来しましたが、野生化して今では外来生物法で要注意の害草に指定されています。笹目川で撮影。

セイタカアワダチソウ
 2009年にリリースされた八神純子のファーストアルバム「思い出は美しすぎて」に収録された「せいたかあわだち草」。その悲しみにあふれたメロディーはフアンをとりこにしました。その時期は、花粉症の原因と名指しされた時期と重なっています。しかし 、それは濡れ衣で真犯人はイネ科の「ブタクサ」だったのです。
原産地は北アメリカ。枝に黄色の花をびっしり付けるところからゴールデンロッド(黄金の鞭)と呼ばれています。また、ネブラスカ州の州花とされています。武蔵浦和駅付近で撮影。
花言葉 生命力、元気

ヒメツルソバ
 地をはうようにして四方に広がって金平糖のような丸いピンクの花を咲かせます。葉の表面にはV字の模様があり、寒気が強まるとともに真っ赤に紅葉します。草もみじの代表格です。
明治時代の中期にヒマラヤから輸入された帰化植物で、今ではアスファルト舗装のすきまなどによく見られます。白幡4丁目交差点付近で撮影。
花言葉 信じる心、愛らしい

(事務所スタッフ:ひげじー)